9月1日に思うこと——子どもの可能性と「逃げ道」を、大人が塞いでしまわないために

目次
- ○ 子どもの可能性と「逃げ道」を、大人が塞いでしまわないために
- ・1. 子どもは大人が思う以上に「スポンジ」である
- ・2. 「あなたのためを思って」に潜む親心とエゴ
- ・3. 「根掘り葉掘り聞かない」という味方の立ち位置
- ・4. 「事実はひとつ、考え方はふたつ」——可能性の芽を育てるために
子どもの可能性と「逃げ道」を、大人が塞いでしまわないために
私のサロンが入っている施設では、普段から多くの小中高生たちが学校帰りに集まってきます。友達同士でゲームをしたり、おしゃべりに興じたり。昨日9月1日も、とても賑やかでした。
「ああ、夏休みが終わって、またいつもの日常の風景が始まったな」
そう感じると同時に、胸の奥でふと考えさせられることがありました。昨日9月1日は、一年の中で子どもの自殺が最も多くなる日だと言われているからです。
楽しそうに笑う子どもたちの傍らで、重い足取りで新学期を迎えた子もいたかもしれない。
子どもにとって「学校」と「家庭」は人生のほぼすべてです。大人なら「嫌なら別の場所に行けばいい」と思えることでも、純粋で経験の浅い子どもたちにとっては、そこから外れることが「自分のすべてが終わってしまうこと」のように感じられてしまいます。
1. 子どもは大人が思う以上に「スポンジ」である
子どもは周囲の環境や大人の言葉、空気感をそのまま吸収します。
カウンセリングの現場で出会う大人の方々とお話ししていても、子どもの頃に受けた抑圧やいじめ、何気ない大人からの言葉が、何十年経っても深い傷や生きづらさ(認知の偏り)として残っているケースに数多く出会います。
それだけ、子どもの頃に過ごす環境や大人との関わりは、人生に大きな影響を与えるのだと実感しています。
だからこそ大人たちに伝えたいのは、「子どもたちには、選択肢がある」ということ。
つらいなら、逃げたっていい。
もちろん、ずっと逃げ続けることが根本的な解決にはならないかもしれないけれど、追い詰められたときに一度立ち止まり、逃げることは決して悪いことではありません。
そして何より大切なのは、「親や周りの大人が、その逃げ道を塞いでしまわないこと」だと思っています。
2. 「あなたのためを思って」に潜む親心とエゴ
「あなたのためを思って言っているのよ」
誰でも一度は口にしたことがあるかもしれないこの言葉。
大人自身が一度人生を歩んできた「先輩」だからこそ、子どもがこれから転びそうな道や失敗が見えてしまい、「自分と同じ苦労をさせたくない」と一生懸命止めようとしてしまう親心も、痛いほど分かります。
でも、胸に手を当てて深く考えてみると、それは子どものためではなく、無意識に「自分の思い通りにさせたい」「親である自分の安心のため」になっているのかもしれません。
もちろん、犯罪やモラルの逸脱、自分や誰かを傷つけること——そうした「絶対に止めるべき一線」は毅然と止めなければなりません。
けれど、それ以外の転ぶかもしれない道も含めて本人が選び、歩んでいくのを静かに見守ることも必要ではないでしょうか?遠回りの経験すらも、すべてはその子の人生の糧になっていくからです。
「普通はこうだから」「みんな行っているから」という大人の固定観念で追い詰め、逃げ道を塞ぎ、子どもの可能性の芽を摘んでしまうことだけは避けたいものです。
3. 「根掘り葉掘り聞かない」という味方の立ち位置
では、親として日頃どう子どもに向き合えばいいのでしょうか。
たとえば「今日は学校でどんなことがあった?」と聞いたとき。
いつもなら楽しそうに話す子が急に口数を減らしたり、黙り込んでしまったり、「疲れているように見えるよ」と声をかけても「大丈夫」としか言わなかったりする。
そんなとき、原因を突き止めようと根掘り葉掘り聞き出す必要はありません。
問い詰めるほど、子どもはかえって心を閉ざしてしまいます。
大切なのは、追及することではなく、「何かあっても、いつだってあなたの味方だよ」「話したくなったらいつでも聞くからね」という姿勢を示し続けることです。
自分が守られている、逃げ込める場所があると感じられたとき、子どもは初めて安心して息を吐くことができます。
4. 「事実はひとつ、考え方はふたつ」——可能性の芽を育てるために
私が大切にしている「陽転思考」には、こんな言葉があります。
「事実はひとつ、考え方はふたつ」
「学校に行けない、馴染めない」というひとつの事実があったとき。
それを「レールから外れたダメなこと」と捉えるのか、「一旦立ち止まって、自分に合った別の選択肢を探す機会だ」と捉えるのか。
逃げ道を塞がずに、いろんな選択肢を一緒に探してあげること。
大人がその柔軟な心を持ち、「どんなあなたでも大丈夫」と温かく見守ることが、子どもの命と未来を守る一番の救いになると信じています。